ワタリドリ

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海外就職で注意したい契約条件②福利厚生

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前回から「海外就職で注意したい契約条件」と題して、実際に海外で働く求人に応募して選考が進んだ最終段階で注意したい内容についてご紹介しています。今回はその第二弾として、労働提供により福利厚生など会社から得られるサービスについて考えてみます。

 日本では転職活動の際には常識的にチェックする「福利厚生」の項目。平たく言えば「自分が労働力を提供することにより、企業から得られる給与以外の利益」といったところだと思います。

一般的な企業の場合は日本であれば、交通費の支給などから始まって社宅、保険、子育て支援など、職種や社風、企業の規模によっても非常に様々な取り組みが行われています。社員旅行なども福利厚生に当たり、筆者はセブ島の旅行会社に勤務しているためこの手配・アレンジをすることも少なくありません。

 

ただ、海外就職となると福利厚生の内容は大きく異なってきます。基本的な内容以外で海外就職の際にチェックしておきたい3つの福利厚生項目について今回は以下でご紹介していきます。

ちなみに契約条件についての第一弾の記事で気になる給与の面での注視したいポイントについて、第三弾では労働契約と会社を取り巻く環境についてもご紹介しておりますので参照してみてください。

 

海外就職で企業側から提供される福利厚生について

そもそも、日本の法律やビジネススタイル、文化とは違う場所の福利厚生を受けるわけですから、日本の常識的な項目がいくつか無いからといってその企業がおかしい、というような目で見るのはよくありません。あくまでもその国の仕組みに則ったルールが定められているわけであって、実際に働いてみると十分その福利厚生で事足りた、ということはよくあるようです。

その中でも海外就職特有の3つの福利厚生についてみてみましょう!

 

1 労働ビザの取得費用の負担・サポート・取得プロセスのアシストはあるか

どこの国であっても最も大きい福利厚生はこの「ビザ取得関連」だと筆者は考えています。労働ビザが取得できなければ働くことすらできないわけですし、労働ビザがなければ働けないということは必然的に100%の人がこのプロセスを経験するはずなので、とても重要といえると思います。

労働ビザに関しては各国で様々な制度が取られており、その取得費用・期間・方法・発行までの期間などは多岐に渡ります。そのため、就職したい国が1つに決まっている場合には、自分でまず簡単に調べておきましょう。その上で最終面接の際などに確認したいのは「労働ビザ取得費用の負担者」と「労働ビザ取得までのプロセスがどうなっているか」という点です。

 

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まず費用の面に関しては主に3つのパターンが考えられ「労働者負担(給与からの天引きも含む)」「企業負担(研修期間後の払い戻しも含む)」「費用の一部を企業がサポート」があります。サポートの場合には上限が設定されている事が多いため、少し大げさな例ですが、企業から面接の際に「10万円負担しますよ」と言われてよかった!と思っても、実際にビザを取るのに100万円程かかるのであれば労働者の9割負担です。ですので、「費用の一部を企業がサポート」の場合は出来る限り実際にかかる費用を調べあげておくことが大切です。

労働ビザの費用を負担してくれる企業の特徴として1つ挙げられるとすれば、「働く国以外の国の人を対象にビジネスをしている企業」です。なぜなら企業のクライアントになる人種が外国人である場合は、そのクライアントの国のスタッフを採用して交渉に当たらせている場合が少なからずあるため、外国人スタッフのために労働ビザの取得を既に何度も行っている上、外国人スタッフが採用できないとビジネスにならないことも多いためです。もっと言えば日本人の労働ビザを取得してくれる企業となると、日本に財を販売していたり、日本語を使う必要のあるビジネス・サービスである可能性が高いと思います。

 

次にビザ取得までのプロセスについてですが、これも複数のパターンがあります。親切な企業では社内の人事管理担当者が労働ビザの取得プロセスを全て請け負ってくれることもある一方で、自分で全てのプロセスを経てから入社するように求めることもあります。ただし、後者の場合は手続きが簡単でアシストしなくてもできるから、という場合もあります。

一般的に労働ビザの取得は「イミグレーション(入国管理局)」の管轄下において行われる手続きになります。観光ビザやワーキングホリデーのビザ取得などの種類の1つとしてこの労働ビザの取得も含まれます。多くの国の場合は、労働者の個人情報・企業と労働者の契約情報のセットの提出を指定された書類とプロセスによって行い、証明写真や各種書類の発行を行っていきます。これは日本でも市役所で住民票を引き出したりする手続きに似ています。

ビザの手続では労働者とされる人(労働ビザの申請者)がその国の中で犯罪を犯す可能性がないか、企業との契約情報に虚偽記載がないか、企業の正当性のチェックなど様々な項目があり、取得にはなかなか時間がかかる上に、1年で更新の場合も多く結構面倒な手続きになります。こういったプロセスを助けてもらえるかどうかは、特に初めての海外就職の可能性が高い「20代の海外就職」にはとても大切なことです。

 

そして筆者が1つここで書いておきたいのは、労働ビザの取得については現地スタッフの方々の助けが必須になります。言語や仕組みをよく知っている人たち、欧米でもアフリカでも中東でも東南アジアでも、どこであっても現地のスタッフに助けてもらって労働ビザを取得することがほとんどです。こういった人たちに感謝できる人であるということは、海外勤務が始まる最初のステップでとても大切なことです。いくら自分が「できる人」であっても、働けなければその能力だって発揮できません。海外で働ける環境を整えてくれる周りの人たちに感謝できる人であれば、企業に馴染むのにもきっと時間はかかりませんよ!

 

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2 日本に帰国できる仕組みはあるか

日本人の故郷は日本。いつかは日本に帰る可能性もあると思いますし、家族や友人、恋人、その他もろもろの人間関係だって基本的には全て日本に残していくわけですから、不定期で短期であっても日本に帰る方法は企業側で考えられているのか、という点についても確認しておいたほうが良いですね。

海外勤務をする人たちの中でよく聞く話として「家族に問題があった時に対応できない」「人間関係を維持することが難しくなる」という2つがあります。人間関係については海外就職すればその国で広がりますから、日本での関係が縮小してしまってもこれは相対的なものとして割り切るしかないと思います。しかし家族の問題はかけがえの無いものですよね。緊急事態の場合に日本に帰ることができるかどうかはもちろん、福利厚生上で「年に1回日本との往復航空券を負担」として提供してくれる日系企業も少なくありません。こういった項目はしっかりと使っていくことが労働者としては大切になります。

 

この項目について筆者が考えるのは、「いつでも帰れるような海外就職は海外に半歩踏み出しただけ」ということです。海外で働くことは日本よりも更に弱肉強食の社会に身を置くということです。その中で退路を確保して「合わなかったらやめてもいい」という簡単な気持ちで海外就職をしているようでは、きっと海外でも結果は出ない。どうしても辞めたい、辞めないと自分がおかしくなりそうだ!という場合は仕方ないにせよ、簡単に折れて日本に戻っていくようであれば海外で働くことに向いていないかもしれません。

あくまでも福利厚生という企業からのサービスで航空券の提供などがあるわけで、その裏にはしっかりとした労働力の提供がなければいけません。自由と責任は常に背中合わせで、どちらが欠けていてもバランスが取れないということが福利厚生制度によく表されていますね。

 

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3 日々の生活における支出面をフォローしてくれるか

海外で生活をし始めるに当たって、また長く生活するに当たっても、色々な費用が発生します。例え日本よりも物価が低い国であっても身の回りのものをいちから揃えるわけですから、貯金ギリギリで海外就職をすると「最初の数ヶ月のなれない生活」と「手探りの節約生活」というダブルパンチにあってしまう事になります。そうならないようにまずは自分自身が金銭的にもある程度準備しておくことは労働ビザの取得の項目にも関係しますが大切なことです。その上で主に海外でかかる費用というと、交通費・住居費・光熱費・通信費・食費・保険契約費になります。一つ一つ簡単に見ていきましょう。

 

交通費については色々な部分があり、出勤のために使う交通機関・食事に行くまでの移動・買い物や遊びに行ったりするときの各種運賃があります。もちろん最初から車が提供されることなんてまずありませんから、まずはその国や地域の交通機関を使って生活が始まります。それが電車なのか、タクシーなのか、はたまたバイクタクシーなどのローカルなものなのか、それは状況によりますが、いずれにせよそういった費用について、出退勤のために発生する費用が負担されるかについても確認しておきましょう。

 

住居費は基本的に賃貸の部屋を借りることになります。社宅として借り上げているアパートがあったり、シェアハウスを提供する企業があったり、賃貸契約のサポートや住居を探すプロセスにスタッフが同行してくれる場合など、その国の生活に最低限必要なサポートはほとんどの場合行われますし、ほっておかれることはあまりないと思います。費用だけでなく費用負担相当のサポートをしてもらえれば基本的には十分だと思います。

ただしこういった時に英語があまりにも不自由であると不便な上、最初から周りに迷惑を書けてしまうことにもなりかねませんので、しっかり勉強しておくことは必要です。

 

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光熱費は生活に密接に関わるものです。主に電気・水道・ガスになると思いますが、熱帯のフィリピンのような国であればクーラー・扇風機・冷蔵庫などの製品、寒い国であればその逆の機能を持った製品に対して電気代が発生します。また水道代は各国で料金にかなり幅があります。水資源を輸入に頼っている国の真水利用は非常に高いこともあるので注意が必要です。ガスは引かれている場合とプロパンガスなどのボンベを使う場合などがあります。これらの費用については労働者負担である場合がほとんどですが、社宅借り上げの場合は一括企業負担という場合もあるようです。

 

通信費については主にインターネットと電話が該当します。インターネットについては、ネット環境をWi-Fi接続によって得ることのできる場所は日本より海外の方が多く存在するのが一般的な認識です。ただし国によってはそうでない場合がある他、中国などではSNSの規制がかかる場合もあります。費用を負担してくれる会社はほとんどありませんが、オフィスにWi-Fi環境があればそれを利用することができる場合があります。

電話は国際電話が多くなります。現地で携帯電話を購入して私用で使うケースがほとんどで、これに対して費用負担をしてくれる企業はもちろん、ほとんどありません。

 

食費は自分の食べる量と物価によって上下します。ホテルのスタッフ、レストランの店員などの職種の場合はまかないとして夕食が提供される場合がる他、セブでは語学学校のインターン生に対して、生徒と同じランチ・ディナーが提供されていることがよくあります。意外と食事に対して手厚く福利厚生を用意している企業は多く、日々確実に支出として発生する食費を抑えられることはとても大きな価値を持っていると言えます。

 

最後に保険には損害保険と医療保険が大きくあります。何かを壊してしまったり、事故を起こして加害者になった場合の保障の部分と、自分が体調を崩してしまった場合の保障です。どちらもとても大切ですが、多くの場合は医療保険に企業が加入していますので、その中に入って保険を適用してもらうことになります。ただし業務外であると対応してもらえないこともあるので、どういった契約条件なのかはしっかりと知っておくことが大切です。

 

今回は「海外就職で注意したい契約条件」の第二弾として福利厚生について考えてみました。大切なことばかりなので文章もかなりの量になってしまいましたが、面接に望むにあたって是非事前に読んで頂ければ幸いです!

 

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